夕凪の街 桜の国、読んでみた。
「この世界の片隅に」の「りんさん」エピソードを追加したバージョンも2018年12月に公開されます。
「夕凪の街 桜の国」は同じ原作者のこうの史代さんが描かれたヒロシマのお話です。「この世界の片隅に」がとっても面白かったので戦争ものが苦手ですが読んでみた次第です
(Amazonより引用)
今年、川栄李奈さん、常盤貴子さん主演でNHKでドラマ化されましてそれも観ました。
原作では原爆投下から10年後の広島に住む平野皆実のお話「夕凪の街」と現代(平成元年くらい)の平野家のお話「桜の国」という2篇のお話なのですが、ドラマは混ぜて作っていました。
こっちは文句が多くなるので、自分がいいと思ったところだけ言いますと、唐突に病に倒れた平野さんが往診のお医者さんにはっきり自分の症状を聞いているところ(原作ではお医者さんにはっきり聞いていません。たぶん観ている人にこの病気について説明しないと判らない時代になったからかなーと)と最後のところは演技が良かったです。モノローグ?っつーの?朗読?してるとこ。
原作のほうですが、「この世界の片隅に」は上中下巻でたっぷり書かれていて、最後もきれいにまとめていましたが、「夕凪~」はちょっと端折りすぎていて勿体なかった。
漫画の枚数の都合だったのか、あまりに端折ってて…
☆もうちょっと平野さんと打越さんの交流を丁寧に進めてほしかった
☆平野さんの悩みやトラウマの深さとかももっと細かく感じたかった
☆俗に「原爆スラム」と呼ばれていた被爆者のかたが多く住んでいたという長屋での生活の様子も見たかった
交流の様子が少ないもんで、昭和の男女なのにあんな早く接吻に至るの?!などと全然関係ないところ気になったりしたゲスい自分
もうちょっと平野さんと打越さん交流してからチューやろが?打越さんっとそこばかり突っ込んで……ゲスい自分
学校で習うので8月6日は広島に原子爆弾が投下されたこと、放射能のことが知られてなかったので2次3次と被害が拡大したことなどなど知っていますが「原爆スラム」という地域があったことなど知りませんでした。(この名称ももしかしたら使っては駄目なのかも。すみません)
あとちょいちょい出てくる、ボーっと軒下に座っているオジサン。いやでも目に入るのでなんかあるな、と思いました。
これは「この世界の片隅に」の日傘のご近所さんの場面同様、説明なくあっさり背景に出てきます。でも当時の出来事を知っている読み手には一体どういうことなのか分かるというスタイル。
日傘のご近所さんの意味するところは分かった私ですが、このボーっとしたオジサンは分かりませんでした。
「ぶらぶら病」というらしいです。wikiより引用~全身倦怠感、易疲労感を中心とした症候群である「慢性放射能症」、「慢体力・抵抗力が弱く、疲れやすい、身体がだるい、などの訴えが続き、人並みに働けないためにまともな職業につけない、病気にかかりやすく、かかると重症化する率が高いなどの傾向をもつとされる性原子爆弾症」(都築正男、「慢性原子爆弾症について」昭和29年2月『日本医事新報』第1556号所収)と一致、または重複する病態に対する、民間における呼称とも考えられる。
このおじさんはぶらぶら病の方なんでしょうね。
原作で好きなところは「打越さんに『おまえ』と呼ばれた」のとこ以降ですね。
うーん、甘酸っぱい。距離近くなった気がするんだよねー分かるわー。しかしわたしは「お前」と呼ばれたら「あぁん?!」となるしそいつにモラハラ気質を感じるのでリアルに方言以外で「お前呼び」するやつはアウト
そんな小さいほんわか感が1つ2つと増えていったのに、平野さんはほんとうにあっという間に死んでしまいました。
ドラマでは「10年経って大丈夫、って思ってしまった」というセリフがありましたが、これは良い追加台詞。
なんの救いもなくお話は終了してしまいました。原作ではこの救いのなさが狙いでしょう。ドラマ版では、平野さんの死から現代の平野家のストーリーである「桜の国」の話に繋げていて、綺麗に終わらせていました。
実際、唐突に亡くなっていたそうです
有名な髪の毛のない姉弟の写真の方たちも弟さんは被ばくから4年後に、お姉さんは20年後に唐突に亡くなっているとのこと。
20年も経っていたらまさに「自分は死なずにすんだ人」と思ってしまってたでしょうね
偉い人が決めて始めて、被害を被るのは無関係な人。戦争嫌だな。