今更「この世界の片隅に」
「この世界の片隅に」、
いいよ~
いいよ~
と呪文のようにネット世界でよい評価がついていて、何ぞや?と気になっているところにこっそりひっそりとニュース番組でも取り上げられて、で何と言っても細谷佳正さんが声をあてている(「黒子のバスケ」が上手かったから好きだった)ということでググッと触手が動きました。
最初あまり事情を分かっていないときからニュースでの紹介の仕方がすごく不自然でね。あとでああ、のんさんのせいか、と分かりましたけども、まあテレビ世界の闇を感じますわね。ニュースでさえこの気の使いようなの?っていう…
まず、原作から購入。
あら。こりゃいいお話だわ。原作3巻ありますが、全然いい買い物でした。
みなさん仰っているとおり、本当に淡々と日常生活が描かれていまして、それ以外でもそれ以上でもない。
死の予感や、死も、そこを大きくクローズアップするのではなくて、何の説明もなく日常生活という大きな流れの一つとして描かれているのがすごくいいですね。例えば広島へ救助にいったご近所さんが日傘を差さないと外を歩けなくなっているところとか、ただご近所さんと会うだけの場面ですけど、説明なしで「あ、もしかして…」と分からせる技がね。
なまじ映画の映像も少し見たため、余計に原作のこの場面は映画ではどう表わされているのか、このセリフどうやって言ってるんだろうなぁと思うと気になって、とうとう劇場版を視聴しました。
のんさん上手。叫ぶところとかはちょっと下手クソですが(焼夷弾のとこね)普通の会話や心の声はほんっとに上手。すずさん=のんさんでしかありませんでした。
声優さんが各々バラバラに声を吹き込んだということで、臨場感ある雰囲気になりにくいのでは?と思いましたが、素人目にはそんなに変に感じませんでした。プロから見れば「あーバラバラに録ってるね」って分かるのかもね。
でもすずさんと周作さんのシーンは一緒にアテレコしてほしかったですねぇ。軍艦を眺めるところや、蚊帳のところ、定時上がりの橋の上のシーンとか、「アホ」「アホ」って怒るところとかね。現実のやり取りがあると絶対また雰囲気違いますよ。
原作では重要な意味をもつ、遊女のりんさんとのエピソードはすっぱり削られていて、原作を最初に読んでしまった人には深みが薄れた感じがしたのが残念でした。
でもりんさんとすずさんの場面の映像がちょっと残っていたりするので、画と声は一応出来ているのかな?
完全版として、りんさんのエピソードが追加されて、周作さんがりんさんのことをチラッと話す場面も録り直しされたら、またあの爆撃の場面や定時上がりの橋の上の場面の意味はグググッと深くなりますよね。
なににせよ、原作100点、劇場版85点のとってもいいお話でした。